2010年1月31日日曜日

MOLESKINE (ダイアリー)

先日、数年ぶりに5Lの分液ロートを振ったら肩が痛くなってしまった、三十路半ばのコンキチです。

ところで、今年は人生で初めて日記帳を買ってみました↓

MOLESKINE モレスキン 2010年 ダイアリーです。2,625 JPY (アマゾンだとディスカウント・プライスで2,100 JPY)もする高額商品ですが、奮発してみました。

日記なんかつける柄ではないコンキチは、このダイアリーでしようとしていることは、ズバリ、


毎日強制的にメモする


です。

密かにコンキチは、一昨年からMOLESKINEの(ダイアリーじゃない)メモ帳を愛用しているんだけど、メモの頻度が低くなりがちで、かつ後で重要だと思い直したことがメモされてなかったり、ループバックに陥ることもしばしば。あと、メモの内容を時系列で遡りたい場合も勝手が悪かったりします。

で、こういった従来(普通)のメモ帳でみられるアウトプットの低さと、時系列性の低さをどうしたら改善できるだろうかと考えた結果、到達したのがこのダイアリーということです。使いはじめておよそ一ヶ月、稼働状態はいまのところ上々です。

あと、MOLESKINEというブランドが保有していることに対するステータスを与えてくれる(気がします)、ちょっと値が張るけどね(普通の醜悪なデザインの日記もけっこうな値段がするので、洗練されたデザイン料と割り切れば、そう高くはないか?)。

MOLESKINE モレスキン 2010年 ダイアリー ハードカバー 黒 / ポケット、活用できそうな気がします(今のところはまだ)。

選挙屋に甘い幻想を期待してはいけない

政権の座を獲得した民主党や下野した自民党などをみていると、国会議員って政治家ではなくて選挙屋だなと思います。

政治家はしばしば政治屋と揶揄されることがありますが、そんなの通り越して、選挙屋だなと感じますね。

彼等の最も主要な関心は、選挙に当選して国会議員という安定した地位•名誉•経済力をゲットすること。そのために、自らの支持者に向けて耳当たりのいい甘い言葉を囁くのだ、時には全国ネットで。もしくは、敵のミスを徹底的に批判する。だって、批判するだけって簡単だから。

そもそも、彼らの専門は何なのだろうか?財務大臣を努める菅副総理は、経済閣僚のくせに、素人目からしても経済学をあまり理解していないようだ(なので、軽く暗澹な気持ちになります)。大衆と迎合しやすい厚生行政だったら人気もとれたかもしれないが、こんどばかりは、二匹目のどじょうとはいかないかもしれない。

あと、よく彼等は、早朝の駅前で、のぼりを立てて挨拶している、マーケティングのためだけに。その行為は、自分が政治家として存在しているということをアピールしているだけだ。ついでに、通勤時間に改札入り口前なんかにつったたれるのは勤め人にとっては邪魔以外の何者でもない。っていうか、コンキチが利用している駅では、彼らに注目している人は皆無だ(というか、仮に街頭演説していたとして、勤め人が通り過ぎる数秒の間にいったい何を訴えられるというのか)。はっきり言って、立ちんぼしている時間があるんだったら、政治に必要な専門分野に対する造詣を深めて欲しいのだけれども、そういったインセンティブは彼等には働かないらしい。

彼等はすべからく高学歴だ。つまり本質的に頭は悪くないはすだ。では、何故頭のいい為政者がいて、社会に問題が山積しているのか?それは、彼等が怠惰な大衆に耳ざわりの良い甘言を弄してかりそめの支持をとりつけ、問題を先送りしつつ、在任期間を逃げ切ることがベスト(楽して勝つ)な戦略だと考えて、それを実行しているからだとしか思えない。この特質は、年配な政治家ほど顕著だろう、だってリタイアする時期が近ければ近いほど、財政破綻前に逃げ切れる可能性が高まるのだから。

だから、米粒ほどの脳みそがある人は、政治になんか過大の期待を抱かないと思う(ちなみにコンキチは、公的年金に全く期待していません)。そういった構えでいた方が、ダメージは少ないと思うな、精神衛生上も経済上も。


最近の報道番組で目にする国会の様子は、コンキチの目には、かつてない劇場の様を呈しているように映ります。政治主導とか言って、専門知識が足りないから、まともな答弁ができす、声高らかにごまかす。笑える


「政治に期待するはやめましょうよ」なんて思うコンキチは非国民なのでしょうか?

2010年1月17日日曜日

医薬品クライシス

化学美術館の管理人である佐藤健太郎さんの「医薬品クライシス」を読了しました。

吸い込まれるように読み終えることができました。国内大手製薬会社に勤務していた、業界のインサイダー(しかも研究者)が著した書籍として、評価に値する良書と思いました。製薬業界スーパー初心者級のコンキチにはとても勉強になりました。

ところで、筑波大の先生が製薬業界を分析した書籍に「不確実性のマネジメント 新薬創出のR&Dの「解」」という本があります。この書籍では、ギャンブル性の高い「研究」過程は制御不可能で、「開発」過程におけるgo or no goの判断であったり、巨額の資金がつぎ込まれる臨床試験におけるプロトコールデザインの巧拙やノウハウといったものが競争優位の源泉であるということを述べていたと思うんですが、これは過去の業績を説明しているだけで、低分子医薬の新薬創成の成功確率の凋落著しい現状を考えた持続可能な解は言及されておらず、いささかプアーな内容と言わざるを得ないと思いました。あと、国内製薬会社にしか言及していない。

一方、本書はグローバルな視座からも業界全体を俯瞰しており、つい最近までインサイダー研究者であった著者だからこそ表現できるダイナミズムやインサイダーならではの情報が盛り込まれていて、非常に価値の高い本に仕上がっていると思いました。はっきり言って、面白いです。
ただ、第一章は「化学」を専攻していない人には、けっこうハイブローな内容になっているように思いました。この章でこの本を投げ出してしまう(特に文系の)人がいないことを願うばかりです。

さて、コンキチがこの本で一番エキサイトしたのは、ズバリ第五章の「迫り来る2010年問題」です。特に創薬の成功確率低下の原因への言及が、かつてコンキチが身を置いていた香料業界(合成香料)と共通する部分があるなと思いましたね。すなわち、科学技術の進歩に伴ない、創薬技術(創薬力)は大きく飛躍した。しかしながら、やりやすい領域はやり尽くされた感があり、かつ社会の安全性に対する要求の高まりによって、安全基準が厳格化し、認承自体のハードルが高くなったことに加えて、(時間も含めた)コストがますます嵩むことになったというところです。

あと、外資メガ・ファーマの国内拠点のリストラクチャリングに伴ない発生した大量の研究者の失業にも触れやれていましたが、路頭に迷った彼らは今どうしているのだろうかということが非常に気になります。この辺りは、(一応)研究者として軽く暗澹な気持ちになりましたね。

それから、成果主義が発想の芽を摘むといった内容(唯一コンキチが同意できなかった部分)が記されていましたが、それは運用の仕方の問題であって、インセンティブ設定やシステムのメンテナンスが適切でないだけと個人的には思います。

なにはともあれ、医薬というのは我々人類がお世話にならずにはいられないものであり、それについて((本書を読んで)造詣をめることは、凡百の自己啓発本を多読するよりも、人生において価値があることだと思うのは、同じサイエンスに関わる人間の贔屓目なのでしょうか?


とりあえず、製薬会社を目指している学生さんは、読んでおいて得るものこそあれ、損することはないでしょう。オススメです

2010年1月3日日曜日

綾辻行人の新境地

冬休みのテレビ番組は概して退屈だ。制作に明らかに脳ミソを使ってないと思われるマンネリで退屈な年末年始の番組には辟易させられます。「読書の秋」などと世間では言われているけれど、外は寒いし、混雑してるし、家の中で温まってゴロゴロしているのが一番と思うコンキチです。なので「年末年始=冬休み」こそ読書に最も適した時季とコンキチは思います。

ということで、ちょっと長めの小説を読んでいました。読了したのは、綾辻行人の「Another」(ハードカバー677頁)です。


コンキチはミステリ好きで、結構ミステリ小説を読んでいます。お気に入りの作家は、(多分)オーソドックスで、ドイル、ルブラン(これは冒険小説)、クリスティー、乱歩、正史。最近(存命)の作家では、有栖川有栖とこの本の著者である綾辻行人です。綾辻行人といえば、「館シリーズ」と「囁きシリーズ」が有名で(一応、コンキチは両シリーズはコンプリートした)、新本格のビッグネームです。で、そんな綾辻氏の久々の新作が本書「Another」なわけです。

で、感想です↓
本の帯には、「ホラーと本格ミステリの融合」なんていうことが書かれていますが、はっきり言って99%ホラーとコンキチは感じました。なので、本書の中に「本格」を期待しすぎると、軽くガッカリするかもしれません。が、だからといって本書が期待はずれの駄作であるはけではありません。ミステリの要素は限りなく薄いけれど、面白さはなかなかのものと思いました。また、ミステリもホラーも、ヒントを読者の盲点にちりばめ、小出しにして、作品への興味を掻き立てるという意味では酷似していて、綾辻行人の面目躍如という作品に仕上がっていると思います。
あと、血の滴垂る描写、甘い思春期の心の揺動、偶像との決別といったものが、「館シリーズ」と「囁きシリーズ」では見られなかった、軽快で爽やかな筆致で描かれているんですが、それが何とも言えないバランスを保持し、読書の好奇心を刺激し、物語の先へと急がせているように感じました(677頁というヴォリュームを感じさせません)。
それから、ちょっとネタバレになるかもしれないけど、本作品の系統は、綾辻氏のデビュー作「十角館の殺人」や筒井康隆の「ロートレック荘事件」系の、いわゆる映像化できない系の作品に分類されると思います。なので、読後にもう一度読み返してみると、作者のダマシのテクニックがどのうに発揮されているかチェックすることができて二度楽しめるかもしれません。
少なくともコンキチは、本書が1,997 JPYを投資し、かつ677頁を読破するために時間を費やすに足る作品と思います。(正月番組見るより1万倍は有益)

2010年1月2日土曜日

JACS vs. ACIEE

JACSのASAPに(多分)7月21日に公開されて掲載され、遂にASAPのまま取り下げられた(12月23日?)という、NaHでアルコールを酸化するという、世界中のケミストの注目の的となった論文(http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ja904224y)があります。

その内容と解説があまりにエキセントリックだったため、ある種のフィーバーが起こり、多くのケミストの耳目を集めることとなったのだと思います。

ところで、(多分8月17日に)AngewandteのEarly Veiwに掲載されて、未だ放置プレイという論文(http://www3.interscience.wiley.com/journal/122553897/abstract)があります。
たしか、二種類の有機分子触媒を使い、極性の違いを利用してクロス・カスケードをone-potで選択的に進行させるという内容だったと思うんですが.....どうなんですかね?

この論文の落とし所も軽く気になる、二流大出のなんちゃって研究員の2010年お正月のきもちでした。